道南いさりび鉄道 車両デザイン

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「ながまれ号」は、「道南いさりび鉄道株式会社」が運行する「観光列車−地域情報発信列車−」である。

外装デザインでは、沿線住民の原風景とも言える「津軽海峡の雄大な光景」を幾分か抽象化し、そのまま車体のデザインに採用している。大海原の「水平線」と、そこに浮かぶ「函館山(臥牛)」のシルエットを一連のキャラクターラインとし、「いさりび」や「街の明かり」を想起させる、大きさや明度の異なるオレンジの球体を車体下部に、夜空を彩る銀河の「星雲」を車体上部に散りばめた。

車体のベース色には、新幹線開業とともに惜しまれながら引退した寝台列車「北斗星」への敬意を表し、また、夜景が最も美しく見える時間帯「宵の口」を表現した、深い濃紺色「トワイライト・ネイビーブルー」を採用した。

内装デザインには、定期的に運行される「レストラン車輌」用として、地域材である「道南杉」を天板にしたテーブルや、ヘッドレスト等を設置する。「ながまれ号」は、日常的な通常運行も担うため、これらは全て脱着可能、かつコンパクトに収納できるものとしてデザインしている。

車名である「ながまれ」とは、この地域の古い方言で「ゆっくり、自宅のようにくつろいでくださいね」という、暖かいおもてなしの意味がある。エンブレムは、廃止された江差までの区間も心は繋がっているという思いを込め、かもめ島から着想しデザインした。

時代の変化や技術の進化とともに、主要な交通手段は絶えず移り変わってゆく。 新幹線が北海道にもたらした「利便さやスピード」と、並行在来線が持つ人生という長い旅路の休息時間ともいうべき「心の豊かさ」を、末長く共存させる取り組みの、ほんの一助にもなればと切に願う。

デザイン : 髙田傑建築都市研究室
施工 : 旅客鉄道株式会社 苗穂工場
株式会社北海道ジェイ・アール・エージェンシー
家具制作 : 株式会社ダイワウッド工業
難燃木材 : 株式会社ハルキ
竣工 : 2016.3
     
(Link :  道南いさりび鉄道株式会社
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