H邸hawk
北海道森町に建つ個人住宅である。広がりのあるこの敷地は住宅街にありながら、この町のシンボルである「駒ケ岳」が奇跡的に見通せる軸線を持っている。
この軸上に家の中心を置き、「この町の自然と共にある生活」を実現しようと考えた。
平屋建てのワンルーム空間にリビング・ダイニングキッチンを据え、大開口の2連トリプルガラスサッシュによって駒ヶ岳への視線を獲得した。季節によって様々な表情を見せる山の様子を日常的に垣間見ることで、この町に住む「喜びや誇り」のようなものを常に感じながら生活することができる空間としている。
垂直材(柱)や仕上材には道南杉、横架材(梁)にはカラマツを使用し、森町で生産される様々な樹種を適所に活用することを試みた。
特に屋根の大梁には新開発の高強度集成材(E120-F330)を用い、スパンの割にスレンダーな梁背となることで、端正な空間を構成するのに一役買っている。
建築4周に大きく屋根を跳ね出し、外周部への雪の寄り付きを防ぎ、木外壁の劣化低減対策としている。この大きく跳ね出した屋根は、夏場の強い日差しを防ぎ、冬場の低い太陽光を室内へと導く「パッシブソーラー」としての役割も持っており、ソーラーパネルと蓄電池、薪ストーブにより化石燃料を使用しない「ゼロエネルギー住宅」にもなっている。
町並みとは本来、その地域固有のものであるべきだ。全国的に均質な町並みが多い中、この住宅ではほぼ100%森町産の建材を使用することと、この地域の気候風土にあったデザインとすることで、「本来あるべき町の姿」を模索する試みでもある。
所在地 | : | 北海道茅部郡森町 |
---|---|---|
設計監理 | : | 髙田傑建築都市研究室 |
施工 | : | 株式会社平野建業 |
敷地面積 | : | 733.07㎡ |
建築面積 | : | 129.06㎡ |
延床面積 | : | 104.34㎡ |
構造規模 | : | 木造平屋建 |
竣工 | : | 2020.12 |
(Link :  建設中の経過) |